ダイバーズウォッチの定義、知ってます?──機械式時計ヘッズになるための蘊蓄コラム
日本は雨が多く、最近はゲリラ豪雨にも頻繁に見舞われる。だから仕事に遊びにと気兼ねなく使える時計が欲しいなら、防水性が高い時計を狙うのが賢い。となると多くの人がダイバーズウォッチを思い浮かべると思うが、そもそもどんな時計のことをダイバーズと呼ぶかご存知だろうか
ダイバーズウォッチとは?
本格的なスキューバダイビングにも安心して使うできる機能を持つ腕時計をダイバーズウォッチと呼ぶが、そこにはきちんとした定義がある。20気圧防水(水深200m相当)以上の性能があれば立派なダイバーズウォッチ……なわけではなく、防水性は静止状態で耐えられる水圧や水深を示す数値。潜水(ダイビング)することまでは必ずしも保証していない。だから200m以上の防水性を有し、見た目的にもガシッとしたダイバーズデザインを踏襲していたとしても、厳密にはダイバーズと呼べないモデルが世の中にはいっぱい存在するのだ。なおJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)の規格では、最低100mの潜水とその1.25倍の水圧に耐え、回転ベゼルなど潜水時間を管理する機能を有することをダイバーズの基本定義としている。お馴染みの〈ROLEX(ロレックス)〉の「SUBMARINA(サブマリーナ)」は、もちろんそこに当てはまる。というか、1953年のデビュー時こそ防水100mだったが、その後200m、さらに300mと着実にポテンシャルアップを果たし、現在も進化をやめないサブマリーナこそ、近代的ダイバーズウォッチのベンチマークと言っても異論はないだろう。
最高峰はディープシー チャレンジ
現在のダイバーズウォッチの最高峰と呼べるモデルも、試作品ながらも〈Rolex〉が手がけている。それが「Deepsea Challenge(ディープシー チャレンジ)」だ。〈Rolex〉が大深度ダイバーズウォッチである「ディープシー」をベースに作ったこのモデルは、映画監督にして探検家でもあるジェームズ・キャメロン氏が操縦する深海潜水艇の外側に取り付けられ、2012年に、マリアナ海溝の水深1万908mまで到達している。そのときかかった水圧は12トン以上!圧巻の気密性であり、防水性だ。
ダイバーズスタイルウォッチやマリンウォッチでも十分
なお高い防水性を有していても、ダイバーズの規格に準拠していないモデルについて、多くのブランドではカタログなどで“ダイバーズスタイル”や“マリンウォッチ”と紹介している。本格的なダイビングをする予定がないのなら、そうしたモデルをあえて狙うのもアリだと思う。規格を通していない分、今どきのファッションとの相性を考慮したデザインやプロポーションが多く、価格的にこなれているのも魅力だからだ。実際に水辺のレジャーに使うにはブランドが提示する注意事項をよく確認する必要があるが、雨の多い日本でのデイリーウォッチとして使うには十分だ。