昨年アメリカのカリフォルニアで開催された「モントレー・カー・ウィーク(Monterey Car Week)」にて、イタリア発のハイエンド自動車ブランド「Maserati(マセラティ)」は、“Beast(野獣)”と呼ばれる新型車 MCXtrema(エムシーエクストレーマ)を世界初披露し、今年に入ってサーキットのテスト走行姿を公開した。そこで今回の『Hypebeast』では、この高性能な車の魅力を解き明かし、開発を支えた「Maserati」チームメンバーに話を聞くことで、MCXtremaの今後の展望について迫っていく。 まずは、新型車 MCXtremaが“Beast(野獣)”と形容される理由について。特筆すべきは、最高出力 730psの最大トルク 730Nmを発揮する3.0L V6エンジンを搭載し、公道の走行が可能なMC20の進化版として開発されている点である。さらに、車体の全長と全幅が前モデルから拡大されているにも関わらず、全体重量は11%以上も軽減され、110馬力のパワーアップと相まって「Maserati」史上最もパワフルなサーキットカーとして設計された。 MCXtremaは公道での走行が見られないものの、この新型車の開発は今後の自動車シーンに無限の可能性を提示している。なぜなら、ルールや制限に縛られることなく、エンジニアリングの限界に挑戦し、既成概念にとらわれないユニークなプロダクトであるからだ。そして、このようなアプローチで開発を行うその理由について、「Maserati」のグローバル・チーフ・エンジニアのステファノ・トニエット(Stefano Tonietto)は『Hypebeast』に次のように語った。「一般的な公道のルールの制約を避けることで、自動車が持っている本質的な可能性を引き出した」。
さらに今回のMCXtremaには、スーパーカーを先進的なデザインで仕上げるチェントロ・スティーレ(Centro Stile)のデザインチームも開発に参加しており、自動車の精度を保証するためにさまざまな厳しいテストが事前に行われたとのこと。「一般的な公道のルールから解放されたこのプロジェクトは、ダイナミックで今までにない走行体験を提供することが可能になりました」。そう語る「Maserati」のモデルチーフエンジニア兼テクニカルアドバイザーのビンセント・ビアード(Vincent Biard)は続けて「『Maserati』のデザイナーが生み出したディテールのすべてが機能し、既成概念にとらわれないデザインが施された」と伝えた。 車内のインテリアに関しては、レースドライバーのニーズを最優先して設計が行われ、未来的なデザインのコックピットは走行のすべてのコントロールを可能にしている。また、5インチのセンターディスプレイや人間工学に基づいたグリップ付きカーボンアルミニウムのステアリングホイール、バケットシートには6点式のベルトとロールケージが装備され、ハイレベルな走行における安全性の強度も高められた。 そんな「Maserati」のMCXtremaは、ダイナミックシュミレーターで約200時間、実走シミュレーションのためのバーチャル解析でおよそ1,000時間、さらに4年にわたるMC20(前モデル)の開発とエンジンの信頼性チェックなどを経て、2024年の2月の雨の日に、最終形がサーキットに姿を現している。そしてこの初披露のタイミングでチーフテストドライバーを担当したアンドレア・ベルトリーニ(Andrea Bertolini)は「これまでに多くのシグネチャーモデルの開発に携わってきましたが、 MCXtremaはレースでの成功に彩られた『Maserati』の栄光を思い起こさせるものだった」と教えてくれた。
さらに「Maserati」は、新型車 MCXtremaのリリースを記念してコアファン向けの、わずか62台限定でオーダーメイドのカスタマイズプログラムを導入した。こちらでは、まず車体のカラーリングを3つのバリエーションで変更することができ、ホイールリムも2色、またシートも3種類のデザインの中から好きなものを選ぶことができる。 その他にも、プロのドライバーやエンジニアから直接アドバイスをもらえる走行体験プログラムなども用意されており、MCXtremaを通して「Maserati」レーシングの世界観を追体験することができると言っていいだろう。 まずは上記のビデオから新型車 MCXtrema のサーキット走行の様子をチェックして、ブランドおよび車の詳細に関しては「Maserati」の公式ウェブサイトを訪れてみよう。